「ボクは雨」 僕につけるくすり詩(うた) すぎむらとものり

ボクは雨

すぎむらとものり

受けとめかたをかえてねと

ボクがささやく。

けれど人には聞こえない。

ボクは雨。

 

空をにらんで怒っても

空を見あげて祈っても

やむわけにはいかないよ。

ボクだって ひと仕事

おえないことには

タイムカードはおせない。

 

人から人へとふる雨は

必要だから落ちてゆく。

意味があって強くなる。

 

キミがキミを責めるとき

それはちがうとボクがふる。

キミがだれかを責めるとき

それはちがうとボクがふる。

 

キミがキミにしてきた

つめたさで

おなじようなきびしさで

キミがだれかにしてきた

つめたさで

おなじようなきびしさで

かがみのようにボクはふる。

 

キミがキミを許すとき

よわい自分をかばうとき

キミははじめて楽になる。

自分のために 自分の手で

こころのなかにカサをさすとき

人ははじめて楽になる。

 

まちがうだれかを許すとき

いつか気付くと祈るとき

キミははじめて楽になる。

そこにかつてのキミを見て

さしだしたそのカサは

過去のキミをもかばうだろう。

キミここころは楽になる。

 

かがみのようにボクはやむ。

キミを映してボクはやむ。

 

もしもカサをさしてもムダなほど

ボクが強くふりつづくときは

そこを旅立てという合図。

キミからは見えない向こう側に

やさしいキミにふさわしい

人や場所が待つことを

教えたくてふりつづく。

 

ボクは雨。

ボクは雨。

ボクの言葉は聞こえない。

だけど信じてほしいんだ。

キミのためにボクはふる。

キミを信じてボクはふる。

 

ボクは雨。

ボクは雨。

祈りながらボクは泣く。