幸運なことに
ボクはしっかりと負けた。
幸運なことに
ボクはしっかりと転んだ。
幸運なことに
ボクはしっかりとまちがえて
幸運なことに
ボクはしっかりと失くした。
あのとき成功していたら
ボクは決して学ばなかった。
こころについて
いのちについて
きっと考えることもなかった。
幸せは願いがたやすく
かなうことだけではなかった。
思うようにならないことが
ボクを育てた。
幸運なことに
ボクはしっかりと傷つき
はじめてこころから泣いた。
負けることができたのは
ボクがなんども夢見たから。
転ぶことができたのは
ボクがなんども走ったから。
まちがうことができたのも
失うことができたのも
ボクがいつも純粋に
いちばん欲しいものに
手をのばしてきたから。
そう
なにもかもが
これでよかった。
なにもかもが
ひつようだった。
幸運なことに
ほんとうは負けなんて
どこにもなかった。
幸運なことに
ボクは今も夢を見ている。
幸運なことに
こころのこもった
夢を見ている。