「ひとつの星」 僕につけるくすり詩(うた) すぎむらとものり

ひとつの星

すぎむらとものり

 

その星は

はじめからそこにあった

ボクの目が星以外の輝きで

いっぱいだったから

星は自分を

思い出してほしくて

ボクの夢を

ことごとくかくした

 

手をのばすたびに深まる

冷たい闇のなかで

どれほど泣いていたのか

こぼれた涙のひとつひとつが

凍りつきそうな足もとで

ちいさな鏡に変わった

 

苦しくて 苦しくて

どうしようもない痛みのなかで

無数の鏡がボクを呼ぶ

 

なくした場所に私が見えるか

その暗い場所に私が見えるか

その冷たい場所に私が見えるか

 

涙がいっぱいこぼれた場所を

のぞきこめば

見たこともないうつくしい星が

あざやかにボクを照らす

 

その星は

はじめからここにあった

ボクが星だと伝えたくて

あなたは空を

暗くしたのだと気付いた

 

なくした場所に

お前が見えるか

その暗い場所に

お前が見えるか

その冷たい場所に

お前が見えるか

 

むくわれなかった

ひとつひとつの鏡のなかに

お前が忘れた

お前が輝く

お前が忘れた

私たちが光る

 

思いだせたようだね

お前と私はひとつの星

その光は

鏡の世界の

すべてを変える

さあ

ともにゆこう