お客さんという乗り物に乗って
クラクションを鳴らしまくる。
そういう人に囲まれて君は泣いた。
親という乗り物に乗って
クラクションを鳴らしまくる。
そういう人に囲まれて君は泣いた。
上司という乗り物に乗って
クラクションを鳴らしまくる。
そういう人に囲まれて君は泣いた。
部下という乗り物に乗って
クラクションを鳴らしまくる。
そういう人に囲まれて君は泣いた。
心底こりごりだと思うたびに
君も僕も目を覚ます。
自分という乗り物に乗って
無意識に鳴らしていた
けたたましいクラクションから
あわてて手を離す。
もうこりごりだと思うたびに
君はずっとやさしくなった。
もううんざりだと思うたびに
僕はほんとにやさしくなった。
数えきれないこりごりや
数えきれないうんざりが
人を静かに変えてゆく。
うん。会えてよかった。
うん。会えてよかったんだ。
街じゅうのクラクションに
今 ありがとう。