星を見つけた。
あまりにきれいな星だから
ボクは星をポケットに入れた。
だれにも見つからないように
ポケットのおくふかくにしまった。
あまりにきれいな星だから
ボクはいっぱいよくばった。
ポケットがいっぱいになると
大きなふろしきで星をつつんだ。
星はかがやくから気をつけないと
みんなに気付かれてしまう。
むすびめはきつくした。
ボクがひとりじめするたびに
空から星はきえていった。
あまりにあかるい星だから
あっというまにくらくなった。
あまりにあたたかな星だから
あっというまにさむくなった。
なんだかとてもかなしかった。
星のうつくしさも
星のすばらしさも
ボクがいちばんしっている。
星だってわかっている。
だけどひとりじめしたせいで
ボクも星を見れないなんて。
― やっぱり星は空に帰そう。―
むすびめをほどくたびに
星は空にひろがった。
みんなからもよく見えるように
とおいばしょに星をうつした。
星がわらった。
星がわらった。
あまりにかわいい星だから
つい、のばしかけた手を
ボクはそっとポケットにしまった。
こころがわらった。
こころがわらった。
星とおなじかがやきが
ボクのなかでたしかにわらった。