「あいたかったひと」 僕につけるくすり詩(うた) すぎむらとものり

あいたかったひと

すぎむらとものり

あれもこれもとよくばって

ふくらみすぎてころんだよ。

よごれてこごえてまっくらで

なにもかもをなくしたの。

 

それでもやっぱりいきていて

ごはんをたべて ねておきて

くるしいけれど いきてきて

よていどおりにきづけたの。

 

あの日こころの夜のなか

ぼくがいちばんほしかったもの。

あの日こころの冬のなか

ぼくがいちばんあいたかったひと。

 

ほんとにどれだけ泣いたかな。

いくら泣いてもむだだった。

神さまにいのったけれど

きせきなんておこらなかった。

くるしくて くるしくてね

どうしてもであえないから

ぼくはようやくきづけたの。

 

ぼくがそれになるために

すべてがひつようだったこと。

ぼくがそれだとしるために

すべてがじゅんちょうだったこと。

 

あの日こころの夜のなか

ほんとうにほしかったものを

ぼくがぼくにあげられたらいい。

あの日こころの冬のなか

ほんとうにほしかったものを

ぼくがせかいにあげられたらいい。

 

いのりはたしかにとどいていた。

神さまはもっと

すばらしいプレゼントを

ぼくに用意してくれていた。

 

あれもこれもとよくばって

ころんでよごれてなくしてね

よていどおりすっきりと

ひとはあいたかったひとになる。