「セミのうた」 僕につけるくすり詩(うた) すぎむらとものり

セミのうた

すぎむらとものり

 

すぐ近くでセミが鳴いた。

びっくりするくらい大きな声で。

キミのちいさな体のどこから

そんな声がでるんだい。

巨人のようなボクの体を

おもいきりゆさぶった

いのちのエネルギー。

 

あたまをからに

からだをからに

自分らしさなんて

よけいなものが

どこにもないから

キミは宇宙の喉になった。

 

なつかしいうたが聞けたよ。

神さまの息を

じゃましないなんてすごいや。

ありがとう。

なんかジンときた。

 

大人になるうちに

つめこんできた

やかましいおんぷを

ふり落とすように

ボクの体をひびかせて

 

おなじいのちが

うたっていると

ちいさなキミが

ボクにうたう。

 

セミがうたう。

宇宙がうたう。

どこからまぎれこんだのか

ボクの部屋の真ん中で。