「弱虫の詩(うた)」 僕につけるくすり詩(うた) すぎむらとものり

弱虫の詩(うた)

すぎむらとものり

心が痛まなければいい。

そう思った弱虫の僕。

図太い神経があればいい。

 

気にしないでいられたらいい。

そう思った弱虫の僕。

ぶれない勇者の剣がほしい。

 

でもふり返ると

心が痛まない鈍感な僕が

いろんな人を傷つけてきたよ。

ふり返ると

気づけない無神経な僕が

いろんな人を泣かせてきたよ。

 

心が痛まない。

それはほめられたことではないんだ。

気にしないでいられる。

それはりっぱなことではないんだ。

 

心が痛む。

いろんなことを気にしてしまう。

それはすばらしいことなんだ。

 

たくさんの声が聞こえてくる。

たくさんの表情が見えてくる。

それは弱虫だからだよ。

もっと奥の声が聞こえてくる。

もっと裏の顔が見えてくる。

それは弱虫だからだよ。

 

いろんな立場が見えてくれば

ゆずることや負けることが

自然と多くなるね。

 

だから弱虫でいい。

弱虫がいい。

やさしさを忘れない

すてきな弱虫になるよ。