「電話」 僕につけるくすり詩(うた) すぎむらとものり

電話

すぎむらとものり

過去の僕に電話をかけて

「今それをすると悔やむからよせ」

そう言ったとする。

多分僕のことだからこう答える。

「後悔したくないから好きにやるよ。僕の人生なんだ。

お前に関係ないだろ?」

 

同じ僕でももう他人らしい。

過去の僕にしてみればその時それがベストなんだ。

ああしたらよかった。

こうすれば正しかった。

そんな電話を他人に毎日してごらん。

間違いなく嫌われる。

 

今、未来の僕から電話がかかる。

「今それをすると悔やむからよせ」

 

僕はこう答えて電話をきることにする。

「今僕が経験するすべてがお前のかしこさになっているんだ。

感謝の電話をかけなおせ」と。