「時間差」 僕につけるくすり詩(うた) すぎむらとものり

時間差

すぎむらとものり

うしろからゴツン。

ななめからバチッ。

思いもよらぬ方角から

僕のほうに飛んでくる。

 

ボールだとか石だとか

空き缶だとかゴミだとか

いい子にしてるのに

そりゃないよ。

 

理不尽がひとつ。

またひとつ。

やり返せない相手から

話しにならない相手から

僕にぶつけられる。

 

身がまえたら今度は上だ。

痛い。

もうがまんも限界。

100倍にして返してやる。

 

ぶつけられたものを拾うんだ。

集めてすごい武器にしよう。

これとこれをこうやって。

あれにこれをくっつけて。

 

いろいろガチャガチャやるうちに

記憶がフッとよみがえる。

なんか似てないか。

怒りにまかせて

僕が投げつけてきたものに。

 

なんか似てないか。

ずっとまえ

いろんな人を

傷つけてきたものに。

 

認めたくなかったけど

過去の僕は

理不尽そのもの。

イヤなやつにそっくりなんだ。

 

あの日僕が投げたイラダチは

地球をぐるぐる飛びまわり

とんでもない時間差で

今僕に届いた。